A.解雇は、労働者から仕事を奪うもので労働者にとっては「死活問題」です。
解雇するのにはそれにふさわしい理由が必要です。
また「明日から来るな」など一方的な解雇は禁止されています。
使用者が労働者を解雇するには、(1)「社会通念上相当」で「客観的に合理的と判断できる理由」が必要であり、正当な理由がない解雇は無効です。(2)手続上は、使用者の都合で労働者を解雇する場合は30日以上前に解雇予告するか、または30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要です。 なお、不況等による整理解雇(リストラ)の場合は、①解雇の必要性、②解雇回避努力、③合理的な人選、④誠意ある協議の「4つの要件(整理解雇4要件)」が特別に設けられ、退職の強要は違法行為です。 また、下表のように8つの「解雇禁止条項」もあり、契約期間内の解雇や「雇い止め」の場合「やむを得ない理由」がなければ解雇は無効です。
≪法的根拠:労働契約法15~18条。労働基準法19条、20~22条、他・表を参照≫
解雇・退職強要対策ベスト5 | |
(1) | はっきり「やめません」と主張 |
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(2) | 「理由」と就業規則を確認 |
(3) | 退職・解雇「通知書」を請求 |
(4) | 脅しや強要には激しく抗議 |
(5) | 経緯を記録!早めに組合へ |
8つの解雇禁止事項 | |
(1) | 国籍・信条等(労基法3条) |
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(2) | 性別(均等法6条4号) |
(3) | 労基法違反の事実申告(労基法104条) |
(4) | 結婚・妊娠・出産・産前産後休暇(均等法9条) |
(5) | 育児・介護休業(育休法10、16条) |
(6) | 組合員の不利益扱い(労組法7条) |
(7) | 紛争解決の調停の申請等(均等法17条2項、18条2項) |
(8) | 企画業務型裁量労働制の適用拒否(労基法38条4第1項6号) |
A.有給休暇は、正社員、非常勤等働き方の名称に関係なく、「雇用」されている方なら事業所規模の大小、業種・職種等に関係なく取得できます。
労働基準法は、その「日数」などについて一定の条件を次のように定めています。
労働基準法39条は、勤続6ヵ月以上で出勤率80%以上なら、1年間に10日間の休暇が使用できます。その後、下表のように、年ごとに一定日数が増加し勤続6年半で 最高20日が上限となっています。なお、前年の有給休暇が残っている場合は、その残日数も使用できます。例えば、昨年度有給休暇が5日残っていて、今年の分が14日の人の場合は、 5日+14日となり今年度19日使用できます。また、パート労働者等で働く日数が週4日以下の労働者の場合も、下表のように有給休暇が発生します。有給休暇は賃金の支給を受けて仕事を 休めることであり、他の休暇と大きな違いがありますが、2年経過すると請求できなくなりますので注意が必要です。また、どんな職種も事業所の規模も関係なく、上記の条件に合う労働者で あれば誰でも使用できます。
A.職場における上司や同僚からの不快な性的言動は、セクハラ・パワハラ(嫌がらせ)とされています。人格を傷つけ就労環境の悪化、 離職や発病さえともなう場合もあり社会的にも問題となっています。
セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)は、性的言動によって人格も傷つける不法行為です。(1)地位の優位性を背景に交際を迫るなどの「対面型」と(2)卑猥な言動などで職場環境を害す「環境型」 に大別され、事業主に防止対策義務があります。
パワーハラスメント(パワハラ)は、業務範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えるもので違法行為です。上司と部下、先輩と後輩間などの優劣を背景にした言動(暴行・傷害、強迫・侮辱)で、 「お前なんか使い捨て!クビにする!」などひどい暴言も含まれます。セクハラもパワハラも働く人の尊厳や人格を傷つける許しがたい行為です。これは男女雇用機会均等法や労働契約法、労働安全衛生法の違反となり、 直接の行為者とこれを放置・容認した使用者は損害賠償責任が問われます。
≪法的根拠:労働基準法4条、64条2項~68条、121条、労働契約法5条、均等法11条、厚労省・円卓会議「提言」、育児介護休業法、民法715条≫
A.派遣労働者の場合、雇用責任があいまいにされ、賃金・労働条件・社会保険・安全衛生などさまざまな問題があります。 二重派遣や「偽装派遣」も社会問題となっています。
派遣労働者とは、労働契約を「派遣元」と行い、「派遣先」の事業所の指揮命令下で働く労働者のことです。
【派遣元と派遣先の責任】
労働条件、就労条件の明示、②時間外割増賃金手当や年次有給休暇など労働基準法など労働者を保護する法規の適用は派遣元事業主の責任、また、(a)労働安全衛生法、(b)均等法、育児、介護休業法、(c)セクハラ対策処置は 派遣元と派遣先事業所が分担して責任を負います。さらに、(1)労働時間、休暇、休日の適用、(2)公民権行使は派遣先事業主だけが責任を負います。
【禁止される派遣】
現在は、①厚生労働大臣の許可、届け出がない事業所による派遣、②「請負」と称して派遣する「偽装請負」、③派遣対象業務以外への派遣、④日雇派遣、⑤事前面接、⑥二重・多重派遣、⑦派遣法で決められた上限を超える、 長期にわたる派遣、などは禁止されています。
≪法的根拠:派遣法15条、34条、44条~47条、同施行法25条、職安法4条、44条、労基法6条≫